「手取りは増やさない」“106万の壁“撤廃へ。加速する社保拡大にパートはどう向き合えばいい?

暮らし

こんにちは、MeGです!

厚生労働省
厚生労働省

「103万の壁」撤廃に続き、「106万の壁」も撤廃しまーす!

おぉー、ついに!…ん?

いや、ちょっと待てよ…。

所得税制上の年収の壁を178万円に引き上げる「103万の壁」撤廃はともかく、「106万の壁」は撤廃しちゃいけないのでは。

MeG
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どさくさに紛れて厚労省がとんでもない案件をぶっ込んできましたね。

「106万の壁」が撤廃されると、会社員に扶養されるパート(短時間労働者)は、週の労働時間が20時間以上あれば、年収を問わず社会保険に加入することになります

つまりこちらは実質の“増税”です。

所得税をかからないようにし、手取りを増やそうとする「103万の壁」とは意味がまったく逆なんですよね。

まだ最終調整の段階とのことですが、実はこの案は少し前から検討されており、2025年問題を目前にした今の状況を考えると、ほぼ決まりではないかと思われます。

とは言え、今年の10月に「106万円の壁」の適用要件が改正(対象となる企業の従業員数の引き下げ)されたばかりなのに、こんなに早く撤廃してしまうのはちょっと異例な気も…。

 

 

それほど社会保険料、その中でも特に健康保険料と厚生年金保険料の不足が深刻なのでしょう。

それは痛いほど分かるんですが、かと言って薄給のパート主婦ばかりに負担を強いるのはどうなの?と思う訳です。
(まずは議員年金からテコ入れしろ、と思う人は私だけではないはず)

子育てや介護、健康問題など、さまざまな事情があってパートをあえて選択している人は多い。とくにパート主婦は、夫を支えながら家事育児を一手に引き受け、毎日がいっぱいいっぱい。

つまり“余力”はほとんどありません。

そんなパート主婦に、「今のままでは手取りが減る」「働く時間を増やさないと手取りが維持できない」状況を無理矢理作り出すのはあまりにも酷です。

今回は、パートで社会保険料が発生するとどのくらいの負担増になるのか?を試算した上で、これから私たちパートがとるべき行動について考えてみます。

あくまで私個人の思いにはなりますが、誰かの気づきになってくれたらうれしいです。

 

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106万の壁が撤廃され“週20時間の壁”が爆誕。その影響は?

今回の改正により、新たに社会保険料を負担することになる人はおよそ200万人にのぼるとも言われています。

週20時間以上の労働であれば、有無を言わさず社会保険適用の対象に。つまり106万の壁が無くなる代わりに、“週20時間の壁”が新たに誕生することになります。

負担する社会保険料はいくらになる?

では、実際の負担額は一体いくらになるのでしょうか?

健康保険料率=10%
介護保険料率=1.60%
厚生年金保険料率=18.3%

とし、それぞれ半分は会社が負担するとしてざっくり計算してみます。

①年収106万円(月収8万8000円)の場合
発生する社会保険料 0円 → 約 15万9000円
②年収129万円(月収10万7500円)の場合
※従業員50人以下
発生する社会保険料 0円 → 約 19万5000円

①②どちらのケースも週20時間以上の勤務に該当するとします。

現在は社会保険料が発生していませんが、このままだと①は月に1万3250円の収入減、②は月に1万6250円もの収入減となってしまいます。

MeG
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月8万~10万そこそこのパートにとって、こんなに手取りが減るのはかなり痛い。

一方で会社側にとっても同額の負担増になることを考えると、双方にデメリットしかない気がしますね。

これまでパート労働者に頼っていた中小企業の中には、負担増によってもしかすると潰れる所も出てくるかもしれません。

頑張って「働く時間を増やす」ことの弊害

生活のため、減った手取り分を少しでも取り戻すため、「働く時間を増やす」という選択をする人も一定数いらっしゃるかと思います。

しかしその場合は、また別の大きな影響が生じることを考えなくてはいけません。

子どもと過ごす時間が減る

子育て中の方にとって、働く時間を増やすということは当然、子育てにかけられる時間も減るということに。

土日も働く、または平日遅くまで仕事をするとなると、やむを得ず子供を留守番させる家庭も出てくるでしょう。近頃は日本でも治安の悪化が叫ばれる中、お子さんだけを家に残すのはとても心配ですよね。

かと言って家庭によっては手取りが減ったままだと生活が立ち行かなくなることを考えると、これはかなり悩ましい問題であると言えます。

自分自身をもすり減らす

そして労働時間が増えるということは当然、自分自身の身を削ることを意味します。

家事にかける時間も減り、朝から晩まで忙しい状態に。一日のうちゆっくりできるのはわずかな時間…。

これが、純粋に「手取りを増やす」ためのものなら頑張れますよね。

しかしあくまで手取りを維持するため、社会保険料を払うためだけの労働だとしたら、モチベーションを保つのはなかなか大変です。

日本の年金制度は「賦課方式」であり「積立方式」ではない

これが一番肝心なのですが、身を粉にして働いても、自分が将来その恩恵を受けられる可能性は低い、ということを理解しておかなければなりません。

それは日本の今の年金制度に原因があります。

年金制度、またはそれに準じた制度は世界各国にありますが、大きく分けて以下の2つの方式があります。

それが、「賦課(ふか)方式」と「積立方式」です。

賦課方式
現役世代が納めた保険料を同時期の年金受給世代(高齢者)に割り当てる仕組み
積立方式
自分の年金を自分自身の保険料でまかなう仕組み

日本は一部GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)で運用されている分を除き、基本的には賦課方式であると言われています。

今、厚生年金を納めているからと言って、将来の年金が保証されている訳ではないんですよね。

MeG
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「ねんきん定期便」はまやかし。(しかも今後は郵送廃止とのこと)

積み立てているわけではない私たちの年金は、未来の現役世代の肩にかかっているということです。

 

私たちパートのこれからの働き方の最適解は

大切な子どもとの時間、自分の時間を必要以上に切り売りしない

できるかぎり扶養のままでいよう

まずは、現在すでに週20時間以上働いている方は、勤務先と相談して働く時間を抑えるのがベストな選択でしょう。

実際、そのように就業調整をする方は今後増えていくと思われます。(“壁”撤廃の意味…)

幸い、今は段階的に時給が引き上げられていっているので、たとえば「週20時間」を「週19時間」に減らすことによる影響も限定的かと。

「106万の壁」が撤廃されるなら、年収の方はもう気にしなくて良くなりますしね。(収入に応じて住民税はかかるケースがあるのでそれだけ注意です)

働きたい人は掛け持ち、または副業をしよう

それでもやはり、少しでも収入を維持、または増やしたい!という人は、複数(といっても2社が限界ですね)の会社に分けて働き、それぞれの勤務時間を週20時間未満に抑えるという、いわば抜け道もあります。

要は今のルールでは、一つの会社で「週20時間以上」働かなければ良いわけなので。

また、在宅でできる副業に取り組むのもアリですね。

いずれにしても、自分の限界を超えて働き、体を壊すなんてことの無いように気をつけましょう。

収入の一部を早めに投資に回そう

現在の状況から、もはや年金を当てにしてはいけないフェーズに入ってきたと思うのが自然です。

老後の資金は自分で用意する時代。政府が「新NISA」制度を整えたのにも、おそらくそういったメッセージが込められています。

まずは月1万円、無理なら5千円からでも良いので、資金を捻出して投資に回していきましょう。

将来的な社会保険料のさらなる負担増や増税、老後への備えになります。

新NISAであれば、月1万円の積立でも、年利7%で20年間運用すれば、元本240万円に対し約523万円
同じ条件下で、月2万円の積立なら、元本480万円に対し約1,047万円もの資産が作れます。

 

MeG
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新NISAはホント始めなきゃ損。

今回の「週20時間の壁」の改正は、数年後の「週10時間の壁」への布石とも言われています。

そうなると、いよいよ社会保険料の支払いを避けることも難しくなり、思うように資産形成が進まなくなる可能性も。

まだ余裕ある今のうちに、未来の自分に向けて資産を増やしておくのが吉です。

 

まとめ

今回の改正には私もさすがに危機感を覚え、パート主婦の方々が皆「将来のために社保に入ろう、働く時間も増やそう!」という間違った流れになってしまわないようにと記事にしました。

将来に返ってくる保証の無い、実質は増税でしかない社会保険料の負担増にはできる限り抗いたいものです。

少子高齢化社会により今後は深刻な働き手不足になると言われてはいるけれど、人一人が担える労働力には限りもあります。

MeG
MeG

必要以上に頑張り過ぎて体を壊し、働けなくなっては元も子もありません。

AIなどの発展により、少ない労働力でも回る社会の実現に期待しつつ、これからも無理のない範囲で仕事と向き合っていきましょう!

今回は以上となります。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

MeG

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